◇11.人知を超えた「行」

人知を超えた「行」

私たちは、一個の人間でありながら、同時に両親をはじめとする先祖の延長線上の存在でもあります。つまり私たちは、誕生と同時に、両親の遺伝子はもちろんのこと、両親の刻んできた「おもい」の累積(生きざま)を受け継いでいるのです。その両親もまた親たちの生きざまを受け継ぐ存在です。そのようにして、私たちは5代前からの先祖の生きざまを、今この瞬間に背負っているのです。それはまた、私たち自身の「おもい」の刻み(生きざま)が5代先の子孫にまで受け継がれていくのだということをも意味しています。私たちが意識するか否かにかかわらず、私たちの生きざまは確実に子孫のおもいに影響をおよぼすことになるのです。

自分の誕生から死までをX軸(横軸)とし、先祖から子孫までの流れをY軸(縦軸)とするならば、その十文字の交点に当たるゼロの座標、それが今のあなたです。

天法地源クロスの図

先に述べたように、人間の3つの使命を果たすためには、「今」この地上に肉体があるうちに、プラスのおもいをかせ続ける必要があります。

ところがいくら最高の「今」をかせようとしても、私という存在は、横軸(X軸)で表現されているように、今の「おもい」だけで成り立ってはいないことを忘れるわけにはいきません。なぜなら、私たちは生れてから刻んできた「おもい」の累積(生きざま)の影響を、今、受けている最中なのですから。そのために、過去に刻んできたマイナスの「おもい」をクリアする(過去の苦の刻みを消す)必要があります。これによって私たちは、目先の現象にとらわれることなく、プラスの「おもい」を刻む繰り返しをしていけるのです。

一方、縦軸(Y軸)に表現されているように、人は5代前までの先祖の生きざま・死にざまの影響をも受けています。自分一人が「おもい」を正そうとしても、家系の刻んできた悪しき生きざまの前に、押しつぶされる危険性もあるのです。

したがって、自分に影響を与えている5代前までの生きざま・死にざまを、すべて正常に修正する必要があると言えます。

「頭を取って」、オギャーと生まれて自らが刻んできたおもいの積み重ね(生きざま)、そして5代前までの先祖の生きざま・死にざまを正常にすることで、私たちはマイナスの「おもい」を一生涯刻まずにすむ自分となれるのです。

ただし、自らが刻んできた生きざまと、先祖の生きざま・死にざまを正常にする行は、十文字の交点にあたるゼロの座標にあなたが納まることでしか開始することができません。そして、「頭を取る」ことでのみ、ゼロの座標に納まることができるのです。

すなわち、「頭を取る」ことで、自らが刻んできた生きざまや、先祖の生きざま・死にざまの影響を受けることなく、人間完成に向けてのよろこびの人生をスタートさせることができるのです。

これが人知を超えた「行」の素晴らしさです。