転生界へ行く生命体はだいたい次のような暮らしぶりの人です。
まず、堂々巡りの生活をしている人。10年前の自分の生活を振り返ってみて、その当時と今の暮らしぶりを比較した場合に、どれほど暮らし向きが上向いたかをチェックしてください。ほとんど進歩がないとか、逆に後退しているような印象を持つのであれば、まず転生界へ逆戻りと思ってもいいでしょう。
歳をとるにつれて成長していくことが、人間としての自然なありかたです。
日々のさまざまな体験を通して人間として果たすべき役割、そして使命を自覚し、人生の終焉間際にはいっさいのこの世の執着や未練を断ち切り、人生を終えなければいけないのです。ところが、ほとんどの人は50歳くらいになるともう老後のことを心配し始めます。歳をとればとるほど欲深くなり、すべてを独り占めにしなければ気がすまなくなりがちです。死の間際になっても自分の財産や家族の動向が気になるようでは、まず天上界に行くことは難しいでしょう。
それが度を越せば、苦の絶頂で人生を終えることになり地獄界に進むことになります。
次に、人生が自分の思い通りにならないとか、もっと自分はなにかやることがあるのではないかとか、今の自分の生活に満足できていない人は、間違いなく転生界に戻されます。自分を側から眺めて「今のままではいかんなあ」と思っているような人もそうです。
天上界へ行った生命体は、自分を側から眺めて評論することなどしません。自分の行動にまったく無頓着で、過ぎ去ったことをいちいち振り返ったり、自分の行動をあとで反省したり悔やんだりなどしません。反省はときには必要なものですが、それ以上に大切なことは、今現在どういう「観い」を刻んでいるかです。今をないがしろにして、過去や未来のことを思い煩うのでは、今という瞬間にマイナスの「観い」を刻んでいることになります。
自然の法則に沿って生きている人は、つねに自分の言動に自信をもっています。揺るぎないプラスの「観い」を源かせ、自分に対しても、世間に対しても、肚の底から満足しているものです。夜あまり寝付けないとか、悪い夢をときどき見る人、あるいは朝の目覚めがよくない人は、夜寝ている間に、マイナスの「観い」を刻んでいるので転生界に進むことになります。睡眠中はもちろん意識がないのですが、その間も心臓は休むことなく動き、それとともに「観い」もまた刻まれているのです。
とにかく、もう一度人生のやり直しをしなければいけない人に共通していることは、肚の底からよろこべる人生を送っていないことです。どこか不安があったり、どこか気にかかることをいつも抱えている人なのです。
天上界へ行ける生きざまを刻んでいる人は、物事にこだわりません。現象界で見たもの、聞いたものは一瞬にして消滅する幻のようなものです。その一つひとつに振り回されていたのでは、人間完成などとてもおぼつきません。すべてを気にしていたら、しまいにはノイローゼになってしまうでしょう。人間を完成した人は善悪を超越しています。見たもの、聞いたものを自分の中に止めようとせず、つねに右から左へ流す術を心得ている人なのです。