◇1章 人間の生命力

1.空想の世界ではない自然の法則

「嫌なことばかりがあって、ストレスが随分たまっていたのがたぶん原因だよ」
「不規則な生活が続いたし、食事も偏っていたし、いろいろな無理も重ねたから、体を壊しても仕方がないよ」
はからずも病気になったとき、たいていの人は原因がそれまでの生き方にあったことを本能的に察し、また反省することでしょう。病気という結果をもたらした原因は、不自然な生活をしてきたこれまでの生き方の結果であることは、疑いのない事実なのです。
不自然な生き方、つまりそれは「自然でない」生き方のこと。
「自然の法則」の重要性は前著で繰り返し述べてきましたが、その法則に反した生き方が、積もり積もって生命力を低下させ、その結果、病気という結果を招くことになります。
決して病気だけではありません。
「ヤル気が出てこない」
「悩みが多い」
「悪いことばかりが起きる」
「気持ちに張りがなく毎日がつまらない」
といったことも、実は生命力が発揮できていないために生じることなのです。
私たちの人生の明暗は「自然の法則」というある一定のルールによって司られています。いえ、人間だけでなく、このルールはあらゆる生命と宇宙のすべてを司っています。そして、人間の生命は自然の法則に沿って生きるときに、もっともイキイキと輝き、最高のエネルギーを発揮するように創られているのです。
この自然の法則に沿った生き方ができている人は、生命力を最高に発揮することができますが、そうでない人は生命力を十分に発揮できません。
この生命力の強い弱いは、気がついていないかもしれませんが普段の生活の中にもはっきりと表れています。別に悪いことをしているわけでもないのに家の中が暗い、あるいは、前向きに努力を積み重ねているのになぜか一向に報われない……。生命力というのは理屈や善悪の関係ないところで私たちの生活や人生の方向を決定づけるとても重要なものなのです。
まず初めに断言しておきますが、あなたの生命は、あなたの想像を絶するほどのパワーを秘めています。それなのに、人間は脳細胞も、体を構成する60兆の細胞も遺伝子もすべて、ほんの数%しか使わずに毎日を生きているのです。
もし、自分の内に秘めている力の半分でも発揮することができたら、これまで不可能であったことがすべて可能になり、苦労や悩みは吹っ飛んでしまうことでしょう。もし100%出し切ったら、それはどうなるか……。
決して空想の世界ではありません。あなたの「生命」は、それだけの力を現実に持っているのです。その生命の力になぜ注目しないのか。ここに、現代人が見落としてきた大きな問題があるのです。