◇3章 私たちを生かし続ける壮大な力

2.生命を輝かせるエネルギー

ふだん聞き慣れない「宇宙エネルギー」なんて言葉を多用されると、「ほんとにそんなの存在するのかな」と疑いたくなるのも無理はありません。まして、そのエネルギーの役割など考えたこともない人がほとんどでしょう。それどころか初めて耳にする人もいるかもしれません。
そこで、宇宙エネルギーについてさらに理解していただくために、もう少し説明を加えてみましょう。
この地球のすべての生命体は、エネルギーを補給することによって生きています。その補給方法は、動植物の種類によってさまざまです。では、私たち人間はどのようにして、生きるためのエネルギーを補給しているのでしょうか。
「食べることに決まっているじゃないか」
当たり前のことをなぜ聞くんだと思われることでしょう。確かにそうです。
しかし、この当たり前と思っている答えに、実は大きな落とし穴があります。まず、この問題から解いていくことにしましょう。
会社帰りのサラリーマンやOLが、よくこんな会話をしているのを耳にします。
「仕事で徹夜したからスタミナ不足だよ」
「今夜は焼き肉でも食べてエネルギー補給してから帰ろうよ」
疲れを感じたとき、あるいは元気を付けようとするとき、まず思いつくのは栄養のあるものを食べることでしょう。
子どもの頃、病気になると「少しでも食べて早く元気になりなさい」と、母親がおかゆを口に運んでくれたのも、消化の良い食事によって栄養を取るためです。
このように、口から栄養をとって、それをエネルギーに転換することで私たち人間の肉体は維持されています。
エネルギーの補給は食事だけではありません。古来、人間が生きるために必要なエネルギーは五つの物質から得られるとして、「食物」「空気」「水」「土」「太陽光」が挙げられています。これらの物質から得られるエネルギーを総合して、人間は生きているというわけです。
これらの五つの物質は、私たち人間が必要とした場合、いつでも有効に利用できるように、宇宙エネルギーが形や性質を変えて物質エネルギーとなってこの世に存在しているものです。ガソリンや電気もまた、元をたどれば宇宙エネルギーにたどりつきます。普通、エネルギーと言われているものは、このように物質化されたものを指します。
さて、ここまでは一般常識としてたいていの人が知っていることでしょう。そして、何の疑問も抱かずに、当然のこととしてエネルギー補給を行っているわけですが、本当にそれだけで人間の「生命」は生きているのでしょうか。
もし、そうだとすると、人間の生命は先の五つの物質エネルギーが補給されることによってのみ生まれ、維持されていることになります。そして、嬉しいとか悲しいといった感情や、温かい、痛いといった感覚など、心の働きや五感の働きは、水や空気や食べ物によって創られ、維持されているということになります。
これは誰が考えてもおかしいと思うことでしょう。そのおかしいと感じることを突き詰めていくと、五つの物質以外に、「私たちの生命を本当の意味で誕生させ、生かしている何かがあるに違いない」と誰もが気づくはずです。
それが、物質に転換する以前の、つまり、万物を創造した源である純粋なままの宇宙エネルギーなのです
分かりやすく例を挙げてみましょう。
自動車を動かすためには、ガソリンが必要です。しかし、ガソリンを補給しただけではエンジンは動きません。発火装置を動かす電気エネルギーがあって初めてエンジンが回転します。もし、ガソリンだけでエンジンが動くのなら、人間もまた先の五つのエネルギーを補給すれば、いつでも生きていられることになります。
そうではありません。生命そのものを動かす原動力になるエネルギーが必要なのです。それが宇宙エネルギーです。
つまり、宇宙エネルギーが生命に火をつけ、生命を燃え上がらせるのです。そして、栄養を補給することによって、その生命の火を維持することができるのです。つまり、人間は、空気を吸ったり栄養を補給したりするだけでは生きていけないのです。
もうひとつ、人間をモーターに例えてみましょう。
モーターの調子が悪いとき、汚れを掃除したり、油をさしたりして直そうとしますが、どんなに修理しても電圧が低ければ、モーターは上手く回転しません。同じことが、私たち人間にも言えます。
宇宙エネルギーが十分でないと、人間は上手く働きません。元気がない、疲れた、体調が悪いといった症状も、モーターのように電圧が低いから、つまり宇宙エネルギーが足りないから起きるのです。この根源的な原因を何とかしないと、私たち人間は「元気」になれないのです。
さて、この宇宙エネルギーは、私たち人間の頭のてっぺんから取り込まれ、足裏へと抜けて、生命エネルギーとなります。そして、取り込まれたエネルギーは、私たちが生きていく上で必要なエネルギーとなって、あらゆる活動の源になるのです。私たちが、よく「生命力」と呼ぶのは、この生命そのものを活かす宇宙エネルギーなのです。
私たちが肉体を維持するためのエネルギーと、生命そのものを生かすエネルギーとの違いをお分かりいただけたでしょうか。
私たち人間には、この両方のエネルギーが必要なのですが、肝心の生命に欠くことのできない「宇宙エネルギー」の存在を見落としながら、自分の生命をイキイキと輝かせて暮らしたいと頑張っていたのです。
これでは不自然で、悩みが生まれるのは当たり前だし、真の幸福を求めれば求めるほど、夢の彼方へ遠ざかっていくのも当然の結果なのです。このことに気づかなければ、あなたの人生のための努力は何の意味もなさないのです。