◇4章 頭を取る

1.「本当の人間」になるために

これまでに、あなたが、体いっぱいに元気エネルギーをあふれさせて、喜びに満ちた人生を実現させていくために、ぜひ気づいていただきたいこととして、「生命力」「宇宙エネルギー」「天行力てんぎょうりき」の説明をしてきました。
私たち人間の生命は、これらのすべてが相互に関連し合い、絶妙のバランスを保ちながら、その生命活動を行うように創られています。したがって、それぞれの課題を個別に解決していこうとしても、まったく意味がなく、また不可能なことです。
唯一の方法は、問題の元凶である「アタマ」を取って、人間本来のあるべき姿に戻ることです。
つまり、いまのあなたを、丸ごと新しいあなたに変えていくことです。
そのためには、いま、あなたが頭の中に抱えているすべての「こだわり」を捨てることから始めなければなりません。そして、自分だけが良ければ、自分の得になれば、自分が勝てれば……といった「自分を握りしめる」ことをやめて、なんの我欲もこだわりもない素直な自分になることです。
私たち人間は、目先にとらわれて視野が狭くなっています。特に現代人はそうです。自分の頭の中で小さな世界を勝手に作って、その中で、これが自分だ、これが私の世界だと、まるで〝井の中の蛙〟のように、自ら囲いの中に入って窮屈に生きています。
それは柵も鉄線も張られていない空想の囲いなのですが、ともかくその囲いを飛び出してみれば、そこには、あなたを活かすまったく新しい世界が待っています。
飛び出したあなたが、「なんだ。こんなことなら変な気構えも勇気も必要なかったんだ」と、あっけにとられるほど、簡単に道が開けてくるものです。
なぜなら、多くの人は思い込みの自分と、思い込みの世界を現実と勘違いして、これまで生きてきたのですから。
このことを、たとえ話で言えば、「私は小さな田舎で暮らすしかないんだ」と勝手に思っていた人が、何かの機会に都会に出て、あるいは海外に行って、「私を活かせる世界がここにあった。知らなかった。世の中は広いんだ」と驚くようなものです。
アタマ」を取るということは、このようなことなのです。別に大それたことをするのではなく、あなたが、しつこくこだわっている「思い込み」を、ただ捨てるだけでよいのです。たったそれだけのことで、あなたは変わることができ、人生を一気に大逆転することができるのです。
そこから先は、あなたのおものままです。喜びの観いをただかせ、その喜びを他の人に分け与えていくだけでいいのです。そうしているうちに、気がついたら自分が「幸福の真っ只中にいた」という現実を目のあたりにすることでしょう。
そのとき、あなたは最高に幸福な世界に生きていると同時に、人間完成への階段の途上、つまり、天への階段の半ばを登っている最中である自分の姿を見ることができるはずです。
人間として生まれて、人間らしく生き、自分という人間を最高に輝かせて、生きている間に人間完成をなし遂げ、人間の生命に与えられた使命を果たす。そんな〝最高の生き方〟のスタート地点が、あなたのアタマを取るということなのです。

*【おもい】……首から上の「思い」ではコントロールできない、無意識のうちにいてくる首から下の「観い」によって人間の生活と人生は形づくられていく。アタマが取れていないと喜びの観いが源きにくく、この観いの状態がいかなるかによって自身の体や心の状態が決まる。(前著『人間のしくみ』で詳述)