6、シンプルな答え「生かされている」

かつて無謀にも自殺寸前まで思い詰めていた私だからこそ、私たち人間の「生命」の尊さを誰よりも知っているという自負があります。
その生命を考えるうえで、知っていただきたい大切なことがあります。

それは、私たちは自分の意志で「生きている」のではなく、「生かされている」という真実です。

あくまで「私は自分の頭で考え、自分の意志で生きている」と思う人がいるかもしれません。
では、あなたの心臓は、あなたの意志で動いているでしょうか。そうではありません。しかも、あなたの心臓は、お母さんの胎内にいたときから、つまりあなたの意志が働く以前から、正確なリズムを刻みながら動いていたのです。
心臓だけではありません。酸素を吸収する肺、食物を消化する胃腸などを動かす自律神経も、あなたの意志で動いているのではありません。すべては、あなたの意識や意志の外にある「大きな力」によって動かされているのです。

ほとんどの人はこの真実に気づかないまま、自分の人生を生きようとしています。自分だけが良ければという利己的な人や、わがままな人がいるのはこのためです。このような人は「自分」にこだわり、自分だけを、自分の家族だけを大切にしようとします。
そうすることで、良い人生が拓ける、幸福になれると思いこんでいるのです。

自分しか見ることのできない人が、幸福になれることは決してありえません。自分というものを握りしめる気持ちの強い人は、物欲、金銭欲、名誉欲といった「欲」を追い求めることが生きがいと思い、その欲を満たすために人生の大半を費やしてしまうからです。
その結果は言うまでもありません。得られるのは、孤独感、欠乏感、不安感といった「不幸の種」ばかり。幸福を求めながら、自分で進んで不幸の種をかき集めて「悩み」を育てる努力をしているにすぎないのです。

自分だけの力で、自分の努力だけで生きているという思いこみを持つと、このような間違った人生を知らず知らずのうちに選択してしまうのです。
しかし、「天から生命を与えられ、そして生かされているのだ」ということに気づくと、人生は一転します。
自分という生命を与えられたことに感謝の気持ちが生まれ、他の人に対するやさしさや思いやりが生まれてきます。そして、生かされている「自分の生命」に喜びを感じ、自分をもっと輝かせようという気持ちが生まれてきます。
この変化が起きると、生きる姿勢が変わり、人生の目標がはっきりと見えてきます。先に、「人間は喜びの表現体である」と述べましたが、その意味も、頭での理解ではなく、実感として理解できるようになります。

私たち人間は、自分のことを知っているようで、実は何も知らないで生きています。そして、さまざまな間違いを正しいと思いこんで人生を歩んでいるのです。その最も大きな間違いが「自分で生きている」という思いこみです。

あなたという人間が生命を授けられて、そして、今生かされている。この奇跡のような真実に気づくところから、あなたの幸福探しは正しい道にそって進むことができるようになるでしょう。
その道は、明るく遠くまで見渡せ、踏み外すことのない歩きやすい道です。
「人生は山あり谷ありだから、苦労はつきものだ」と、不運や不遇に見舞われるのは仕方がないと思っている人には信じられないことかもしれませんが、天が示す人生の道は喜びそのものの道なのです。