私は、日本海と立山連峰を望み、海の幸、山の幸に恵まれた地に、漁業を営む父とそれを支える母の間に生まれました。父はとても厳格な人でしたが、仕事が真面目で信望がありました。その父は、驚いたことに、晩年は、仏のような人柄になり、今では私も父のようになりたいと常々思っています。
心臓病で将来を約束した人と別れ
私は5人きょうだいの3番目で、中学校卒業と同時に、東京の叔父の家に世話になり、希望どおり、美容専門学校に通って美容師を目指しました。学校は楽しくて、絶対一流になって独立すると決め、その目標に向かって頑張っていました。
ところが、美容師として働くようになっていた25歳のとき、大きな試練に遭遇しました。過労から体調を崩した私は、風邪が発端で、心臓病を患うようになったのです。当時、私には将来を約束した人がいたのですが、子どもを望むことはできないと医師に言われ、奈落の底に突き落とされた思いでした。それでも結婚しようと彼は言ってくれたのですが、私は悲しくても辞退しました。
念願の美容室を持って
お店で仕事を続けていくのは体力的に難しいだろうと彼が心配してくれ、私はフリーでテレビ局でのヘアメイクの仕事をするようになりました。夢はあきらめず、体をいたわりながら徐々に仕事をしていった暁に、私は念願の独立を果たすことができ、32歳のとき、銀座にお店を持つことができました。
それからは、接客業のママさんたちの美容を中心に、自分の体を顧みる暇もないほどの多忙な日々を送るようになりました。好きな仕事で死ぬのなら本望と思い、がむしゃらに働きました。自分の体を握らない、健康を握らない――これが自然の法則に沿うことだったんだと、それから何年かして頭を取ったとき気付かされました。
器を作るために頭を取る決意をし
スタッフ10人ほどを抱えての美容室経営とプライベートの問題で苦しみ、胃潰瘍を患いながら、日々を送っていたときのこと、大自然の法則と出会うきっかけが訪れました。お店に手伝いに来てくれていた美容師仲間のある方が、自然の法則を説いた1冊の本を手渡してくれたのです。私は全然興味を持てず、放っておいたのですが、ふとした彼女の言葉で、法源法主さまにお目にかかることになりました。
お会いしたときにちょうだいしたお言葉、「器を作ってきなさい」はズドンと私の肚に落ちました。器を作ることが、私の生涯の目標だったので、私はすぐに問題の原因である頭(こだわり)を取りにいく決心をしました。
よろこびがわいて止まらず、病気も快復して
頭を取った後は、よろこびがわいて止まらず、何があっても最高な観(おも)いになっていました。私にもこんなに大らかさがあったんだと、肚から喜べることがうれしく、日々三法行を繰り返し、楽しく過ごしているうち、気が付いたら胃潰瘍が快復していたのです。次第に心臓の病気を気にすることもなくなっていきました。
私は、それまで読んだことのなかった法源法主さまの著書を可能な限り入手して読破し、法則を全細胞に刻み込みました。
周囲によろこびを伝えて
頭を取って、自然の法則に沿った生活をする――これにより、すべての悩み苦しんでいる人を救える。――本物をつかんだ私は、大切な周囲の人たちにそれを伝えずにはおれませんでした。私の周りでは、こうして何人もの人たちが「よろこびの表現体」に目覚めていきました。
みんな、それぞれに何かしら人生においてスムーズにいかないことがあり、問題の原因である頭が取れたときには、本当に喜んでくれました。その後も自然の法則に沿って共に歩めることは、何にも増してうれしいことでした。
こうして過ごしているうちに、私は東京都内の居住地域のお世話を任されるようになり、お店は店長に任せて、全力で救済活動に専念するようになりました。周囲にはさらによろこびに目覚めて、自然の法則に沿い、三法行を繰り返す方々が増えていきました。
その後は、東京の本部に身を置いて、本格的に活動を行いました。
美容室ヘブンをオープン
家に戻ってきたのは57歳のとき、世の中に逆風が吹き荒れていました。しかし、私の中には大自然の法則と、それをつかさどる主、「天」の存在が何より大きく位置付いていました。一人でも多くの方がよろこびいっぱいの日々を歩めるようにというおもいが薄れることはなく、そのおもいは毎日の三法行の繰り返しとともに強くなっていくばかりでした。
それから5年後の平成20年、私は長年温めていた夢をついに実現させることができました。美容室ヘブン(HEAVEN)をオープンできたのです「ヘブン」はご存じ「天国」を意味します。美容室を訪れた方々が、「天」の温かく尊い空気に触れ、癒やされ、よろこびに目覚め、一度きりの人生を仕上げに向かって歩む何かのきっかけをつかんでもらえるようにとのおもいを込めたものです。
不安を抱えている人たちを救う繰り返しを楽しく
実際、お店に足を向けた方には、「何かこのお店、違うのよね」「空気が気持ち良いわね」などと言って喜んでいただき、そこからさらに一歩、二歩とステップを踏んでいる方々もおられるのです。その歩みの過程で聞かせていただけるよろこびの声は、私にとっても心の糧であり、日々のエネルギーにもなっているのです。人のよろこびがわがよろこびとなり、仕事を通じて人がよろこびに目覚めるのをお手伝いでき、気がつけば、念願の天職の道を歩んでいる自分がいるのです。
欠かさず三法行を繰り返しながら、一歩一歩楽しく前進していく中では、家や家族に流れているものが次第に修正され、整っていることにも気付きます。家族や身内もつつがなく、他界した親族や先祖もよろこびに満たされているのが感じられるのです。
私の最大のよろこびは、自分の肉体を通して〝握るものを離す〟です。不安を抱えている人たちを救う繰り返しです。これも大自然の法則との出会いがあったから。そのお世話をしてくれた友人、またご縁のあった方々に、先祖に家族に感謝の毎日です。