私は、長男の高校受験を通して、三法行と頭を取ることのすごさを体験しました。
わが家は子どもが4人です。上から高校1年、中学2年、小学1年、保育園。毎日、どこかで子どもたちのけんかが行われています。いろいろな動物がいるにぎやかな動物園のようです。
私とワイフは仕事を持っていますので、共に夜帰宅が遅くなることもしょっちゅうで、夕食は中2の娘、または高校1年の長男がつくって子どもたちだけで食べるということもよくあります。
「このままでは、行ける高校はありません!」
『悩み苦しみがあるほど幸せになれる』の本にありました「頭を取る」という過程を私とワイフ、そして高校1年の息子と中学2年の娘が体験しています。小学1年の娘も三法行をやっていますので、わが家では毎日、家族5人で三法行を楽しく繰り返しています。
長男は3~4歳のころは、般若天行(はんにゃてんぎょう)が大好きで、ところかまわず般若天行を吐いていました。
小学校のころはとにかく良く遊び、中学校は部活に明け暮れ、はっきり言って家で勉強しているのを見たことがありませんでした。
さて、長男が中学2年の秋に、英語の勉強をみることにしました。とにかく、がくぜんとしました。中学2年の英語の教科書がまったく理解できていません。授業を受けていないか、もしくは先生の話をまったく聞いていないとしか思えないほどのひどい状態でした。その後、ワイフが引き続いて英語の勉強をみたりしました。
そして、中学2年12月の三者面談で、「このままでは、行ける高校はありません!」と担任に言われてしまったのです。ところが、これを聞いたワイフは「そうですか。この子は就職でいいです!」と返答したそうです。小学校時代からあまりにも勉強しない長男を見てきたワイフは、心密かに「長男はすし職人かとび職になった方がよいのではないか」と考えていたそうです。
思いを定め、成績がぐんぐん上がり
一方、この母親の言葉を聞いて焦ったのが、長男です。今の時代、高校に行かなくては話にならないと思いを定め、受験に向けての勉強に取り組むことになりました。その決意を受けて、ワイフはちょっぴり教育ママになろうと決めたそうです。
長男は、最初は工業高校を志望していました。しかし、たまたま見学した工業高校に併設されていた理数科のクラスを見学し、気に入ったようでした。公立高校ですが、塾に行かなくても大学進学可能な学校です。私とワイフもその高校を見学し、「いい雰囲気だし、ここにしたら~」とアドバイスしました。
志望校の選択では、子ども4人の長男として、お金のかからない高校がよいという気持ちも長男にはあったようですが、当時の長男からするととんでもないほど、学力レベルの高い高校です。中学1、2年の勉強がぽっかりぬけている長男は、最初はかなり苦労していました。受験対策として中学3年から、英語と数学だけは塾に通いました。一番得意な数学と、一番苦手な英語を選択しました。
長男は幼少のころより三法行を繰り返し、小学6年のときに自分から「頭を取りに行きたい!」と、頭を取る修行に参加しました。その修行の中で「ただ、ただ前進しなさい。答えは後からついてくる」と指導され、実践したことがあったそうです。
最初は勉強は苦であったけれど、やるしかないと思いを定め、ただ前進しました。そうするうちに、勉強の楽しさが少しずつ実感できるようになったそうです。少しずつ成績が上がり、前期では成績の5段階評価で、全ての科目が3以上になりました。最後の内申では、全ての科目を4と5に上げることができました。これには学校の先生もびっくりし、「凄く成績が上がったな! どうしたんだ?」と驚かれたそうです。
絶対に合格するという気持ちで望み
それでも最後の模擬試験では、合格率60パーセントでした。志望高校は面接が重視されるところでしたので、私と模擬面接をして対策をしました。入試本番は、絶対に合格するという気持ちで望んだとのことです。合格発表までの2週間は、とても長く感じ、合格したときは信じられないほどうれしかったとのことです。また、クラスメートが自分以上に喜んでくれ、涙が出そうでした。現在は、大学進学に向け、日々勉強し、高校生活もしっかり満喫しているようです。
受験生としては、わが家は決して恵まれた環境とは言えなかったと思います。子ども4人では、正直一人ひとりにきめ細かく目をかけられません。家事は子どもたちにも手伝わせて、回しています。勉強よりも家の仕事が先という方針ですので、受験生だった長男にも勉強しないことより、家の仕事をしないことでよく叱っていました。また、長男であるため、下の子どもたちの面倒をいろいろとみてもらうことも多くありました。
そんな環境の中、1年という短期間で学力を上げ、志望校に合格したのは、よく頑張ったと思っています。また、今回の受験を通して、下の子どもたち3人にも長男の真剣さが伝わり、下の子どもたちなりに長男を応援していました。6人の家族が一つになりました。
木村正次郎代表の著書『悩み苦しみがあるほど幸せになれる』には、次のように書かれています。
「必要な家に出会い、必要な親子の出会いから人生は始まっているのです。
そして、その家に生まれた以上、人生の中で果たすべき3つの目的があります。
1.出会った家を受け継いだ以上、その家を根こそぎ救わなければならない。
2.人間生命体としての自分を、人間完成させなければならない。
3.子孫、人類の繁栄につなげなければならない。
これらの3つを果たすことで、人生を仕上げ、人間完成した喜びの死にざまが、子々孫々、そして人類へと受け継がれていくのが人生の目的です」と。
子どもたちのために、しっかりと今を生き、子どもたちに徳を残し、親の務めを今以上に果たしていきたいと考えています。