不治とされる病が治ったというニュースが流れると、「それは奇跡だ」と扱われてしまいますが、決してそうではありません。もともとその人が持っていた力で、病気に打ち克っただけなのです。
この地上のあらゆる生物は、大自然の法則に従って、傷や病を自ら癒やし、正常な状態に回復させる力を持っています。
これが、自然治癒力です。
この自然治癒力を科学的に見れば、血液の浄化システムや内分泌の循環や免疫作用です。欧米では、精神神経免疫学という脳と免疫の関係の研究が進められてきましたが、その結果、免疫中枢の働きを活性化することにより、身体の抵抗力を高めることができ、この作用は、心の状態と深く関連があることが分かっています。
何十年も前のことですが、人間の体内において自然治癒力の元となる物質が発見され、インターフェロンと名づけられました。このインターフェロンは、ウイルスが体内に入ると細胞内から自然に分泌され、細胞がウイルスに感染するのを防ぎ、また、がんなどの悪性腫瘍細胞を殺すリンパ球の分泌を促すという研究結果が発表されました。
しかし、このインターフェロンは科学的には作り出すことができません。生きた生物の細胞のみが作り出すことのできる物質です。
がんの研究で有名な某博士はこのように語っています。
「インターフェロンの誘発は、心の状態と関係が深く、心の汚い悪人や悩みのある人には出にくく、心のきれいな欲のない人にはたくさん出るというデータが出た」
この研究からも分かるように、苦しみを刻んで生きている人は病気が治りにくく、生きていることの喜びを感じている人は、難病でさえ治すことができると言えるでしょう。
動物の世界を見ても、同じようなことが言えます。
野生の状態で自然の法則に沿って生きている動物は、けがはしても病気にはなりません。たとえ外傷を負ったとしても、ぺろぺろ舐めて、あとは静かに治るのを待っています。動物にはよけいな悩みや憎しみはないので、自然治癒力も発揮されやすいのです。
医学がいくら進歩しても、病気は増え続け、病人の数も減るどころか増えています。ここに科学信奉の落とし穴があるのです。
結局は、本人に自然治癒力がなければ、病気やけがも治りません。手術をしたり、薬を飲んだ後は、本人の回復力に頼るしかありません。医療はあくまで補助の役目で、私たちは自分に与えられた生命への責任として、自分の持てる自己回復力を最大限に引き出すようにならなくてはなりません。