さて、これまでの説明で、「思い込み」の影響力がいかに大きいかをお分かりになったことでしょう。
人々の頭の中には、この「間違った思い込み」がたくさん詰まっているのです。と同時に、先に述べた「マイナスの習慣」もたくさん詰まっています。
そして、この「思い込み」と「習慣」の二つが、〝いまのあなた〟を作った大きな要因になったのです。
いずれも、これまでの人生の中で自分が作ってきたものです。その結果として〝いまのあなた〟が作られてきたのです。
もし、「間違った思い込み」と「マイナスの習慣」を、頭の中からすべて消し去ることができたら、いったいどうなるでしょうか。
おそらく、あなたは子どものように自由な発想や自由な判断ができるようになります。目は輝き、はつらつとしてくるのではないでしょうか。頭もスッキリして、気分が良いに違いありません。この〝スッキリ感覚〟を一度でも味わうことができたら、もう余分なものを頭の中に抱えるということは嫌になるでしょう。
しかも、もう子どもたちのように、「間違った思い込み」や「マイナスの習慣」を無条件で受け入れてしまわずに、拒否することができるのです。
私たち人間は、あまりにも余分なものを頭の中にため込み過ぎています。頭の中にある余分な荷物を取り払ってしまえば良いのです。
かの有名な戦国武将は、「人生とは重き荷物を背負いて遠き道を行くがごとし」という人生訓を残していますが、これでは苦しいだけです。もちろんこの言葉にはさらに深い意味が込められているのかもしれませんが、余分なものは捨ててしまえばいいのです。そうすればどのような道だって楽々と、楽しみながら上れるはずです。
多くの人は、これまでで述べたような二つの重い荷物も含めて、他に余分な荷物をたくさん抱えて生きています。そのために、本来の自然な自分ではなく、〝不自然な人間〟になり、〝不自然な生き方〟をしてしまっているのです。
自分を変える、人生を変えるということは、その不自然な自分を〝自然な自分〟に戻し、不自然な生き方を〝自然な生き方〟に戻すということなのです。
つまり、不自然に歪んだ自分を、自然な状態に正すことが、人生を〝本当の幸福〟に導く唯一の道なのです。
私たち人間は、私たちが想像する以上に素晴らしい〝生命の力〟を持っています。
一人ひとりが人間本来の自然な姿を取り戻せば、その力を十分に生かすことができるのです。そして、真の幸福への道を、確実に一歩一歩進んでいくことができるのです。
そのためには、自分自身の内に秘められた〝生命の力〟の素晴らしさに気づくことが先決です。そのことを知らずして何らかの努力を続けても、ともすれば間違った方向に進むことにもなり、同じことの繰り返しになります。