「自分のことは自分が一番よく知っている」
多くの人はそう思っています。
しかし、自分が本当はどのような人間なのかを知っている人が、はたして何人いるでしょうか。
人は誰でも、自分自身に対して、カン違いや思い違いをしていることがたくさんあります。それは、〝自意識〟というものがじゃまをしていて、自分を見る目を曇らせてしまうからです。
それに気づかず、「自分のことは自分が一番よく知っている」と誤解しているために、人生に迷ったり、幸福になるための努力の方向を間違えたりするのです。
あなたという人間は、あなたが思っているより、はるかに素晴らしい存在なのです。あなたの内には、無限の可能性を秘めた力と、喜びに満ちたエネルギーが存在しているのです。
「もし、そうなら、なぜこんなに苦労しなければならないのか?」と、人によっては疑問に思うことでしょう。
その疑問を解くためには、まず、どのようにして、いまの自分ができあがっていったのかを、正しく知る必要があります。
生まれたときには、どのような人間にでもなることができたのに、ときとしてなぜ自信に満ちた自分になれなかったのでしょうか。ときとしてなぜ、悩みを抱える自分になってしまったのでしょうか。その原因に気づいて、いま現在の〝自分の姿〟を正しく理解することができれば、あなたは、自分がいかに素晴らしい人間であるかを知ることができるでしょう。
たいていの人は、「自分を変えたい」と思ったとき、まず自分自身を見つめようとします。そのとき、一番先に見えてくるのは、自分の性格的な弱点と、考え方や行動の甘さです。いつも気になっているだけに、どうしてもそこに目がいくのです。
一番の関心事である自分の弱点を知ることも、もちろん大切です。
しかし、もっと大切なことは、いまの性格、考え方、行動の仕方をする〝あなたという人間〟が、どのようにしてできあがったのかということです。
もちろん、生まれたときにすでに持っている資質というものが影響しています。また、子どもの頃から今日までの育った環境や、さまざまな体験が影響しています。それらを総合した結果、いまのあなたがあることは周知の通りです。
しかし、ここで見逃している問題があります。
その一つは、あなたに染みついている「習慣」の問題です。あなた自身に、そしてあなたの人生において、「習慣」というものがいかに大きな影響を及ぼしてきたか。その影響力は、「あなたの習慣が、今日のあなたを作った」と言っても過言ではないほどです。