さて、ここまで三法行を行うとどのように変わっていくのかを、「能力」と「自分の魅力」を例に挙げて説明をしてきました。
分かりやすく説明するために、一つひとつを個別に取り上げてきましたが、実際には、このような個別の力となって表れるのではなく、それらのすべての元になる「観い」のエネルギーが源いてくるのです。この「観い」のエネルギーが、生活の中で活かされたとき、ここで説明してきたような、その時々に必要な力となって表れてくるのです。
もうひとつ、誤解しないでいただきたいことは、三法行は、このような力がわいてくることを願ったり、求めたり、頼ったりしても、あなたの思い通りにはならないということです。
三法行は、何も考えずに、ただ繰り返しているうちに、その結果として、人間が本来持っている喜びが自然にわき、最高の人生を送れる力がわいてくるものなのです。
だから、願う必要もなく、求める必要もありません。「行」を楽しみながら、ただ繰り返して行ってさえいれば、特に望まなくても自然にその結果が出てくるのです。
三法行は、これまでにも述べたように、今の自分を、人間本来の姿に戻すための「行」です。自分を歪めている殻を破り、自分を解放して、内に潜む生命エネルギーを最大限に活かせる自分になることが目的の「行」です。
言葉を変えれば、自分が根本的に変わる「行」なのです。
このような「行」が、生活の中で日々の習慣になれば、確実に変わることができるでしょう。そして、人生を「観い」のまま生きることができるようになります。その変化がどのようなものなのかは、体験してみると一番よく分かるのですが、それがまだの場合は先の例で想像してみるしかないでしょう。言葉では、三法行の素晴らしさを説明するには限界があるのです。
しかし、私たち人間がどれだけ不自然な生き方をしているか、そして、自然体で生きることがどれだけ大切なことかは、これまでの内容で十分にお分かりになったことでしょう。また、自然の法則にしたがい、自然のリズムと共鳴して生きることで、私たちの生命がいかに輝くことができるかということもご理解いただけたことでしょう。
私たち人間は、悩みや不安を抱え、ストレスを抱えて生きることが普通になっています。そして、「人生に苦労はつきもの」という常識がまかり通っています。それでいて、一方で幸福を求め、またその一方で人生はそんなものだとあきらめの気持ちを抱いて、悩みを増大させていることでしょう。
どこかで、そんな自分を変えなければなりません。人生を変えていかなければ、どこかで悔いが残ります。生きているうちに、人間としての〝本当の喜び〟を体験しなければ、生まれてきた意味を真にまっとうすることはできません。
これまで何度も述べましたが、私たちは〝喜びの人生〟を実現するために、この地球上に自分という生命を授かったのです。あなたの過去がどうであっても、いま残された時間を、そのために使うべきなのです。
幸福を実現するために、どれだけの時間が必要という条件はありません。幸福は常にあなたの内にあります。それに気づくことさえできれば、幸福を実現することは、そんなに難しいことではないのです。