右脳には、私たち人類が進化するために、天から与えられた智恵がたくさん詰まっています。それは、自然の法則そのものである「真理」に直結する智恵です。
その智恵と、左脳が持つ理解力、論理的思考力を調和させて、日常生活に活かすことができたら、また社会に活かすことができたら、これは大変な力を発揮することになることは間違いありません。
人は誰でも、自分の力を発揮して社会で活躍したいという気持ちを持っています。得意な語学を活かして国際的に活躍してみたい、自分のアイデアを事業化したい、教育者として子どもを立派な人間に育てたい、人のために役立つ仕事につきたい──といったように、いろんな希望があるはずです。
多くの人は、前にも述べたように左脳だけで考えるため、どうしても悲観的な答えしか出ず、自分で自分の能力に見切りをつけて、あきらめてしまいます。行動を起こす前に、できるとかできないとかを頭で考えて、感性がやりたいと思っていることを押さえ込んでしまい、やる気が失せてしまうのです。
実は、右脳にはひとつ大きな特長があります。それは、右脳には〝やる気〟を限りなく生み出してくれるという働きがあるということです。
仕事でも遊びでも、何かに没頭しているときには、時間も忘れてそのことに熱中してしまい、もっとやりたい、やってみたいという気持ちになってしまいます。それは、右脳が活発に働いて、エンドルフィン、ドーパミンといったやる気を生み出すホルモンが分泌されて、〝やる気〟をどんどん送り出してくれているからです。
やる気があって何かをするのと、やる気がなくてするのでは、発揮できる力が断然違ってきます。よく「やる気があれば何でもできるよ」と言われますが、その通りなのです。
ただ、残念なことに、右脳はその気になっても自分の意思で動かすことはできません。いくらやらなければと頑張っても、なかなか〝本気〟の気持ちは生まれてきません。
それを可能にするのは、頭の中を空っぽにして、自分の内から源いてくる「観い」を実感し、そして、本来の自分が持つ力の素晴らしさを確信することです。
その確信が刺激となって、右脳は活性化してくるのです。そして、〝やる気〟のホルモンを分泌し始めるのです。
人は、何かを確信することによって、自分でも思ってもみなかったような大きな力を発揮することがあります。それは確信を抱くことで、あらゆる雑念が消えて、右脳が〝やる気〟を生み出し、確信を抱いた目的に向かって、何の迷いもなく自分を導いていくことができるからです。
〝やる気〟は、単なる感情ではなく、人間として生きていこうとする根源的な力です。人間は、この積極的な気持ちがあったからこそ、今日まで進化することが可能になったのです。
つまり、やる気という感情は、人間の活動の源泉であり、生命の誕生時から与えられていた力なのです。
本当の〝やる気〟は、あなたの喜びの観いが最高に源いているときに、自然に出てくるものです。その最高の状態になれているときは、何をしても、それがどんなに大変なことであっても喜んで行うことができます。やりたくて仕方がなくなり、また行うことが喜びになってしまうのです。
その意味では、右脳は〝喜びの脳〟と言ってもよいでしょう。
このように、右脳から生まれる人間本来の「感性」には、単にアイデアとか、ひらめきを創出するだけではなく、人間として伸びようという意欲を創出する働きがあるのです。
だから、右脳が開発されると、ただのやる気ではなく〝本気〟が自然に生まれ、いろんなことに挑戦しようという積極的な気持ちになることができます。そして、創造力と見えないものに対するイメージ力が発揮されるようになるので、自分でも思ってもみなかった力が発揮できるようになります。
このような力こそ、いま社会が抱えている種々の問題解決に必要なものであり、先に述べたように、その力を持っている人は、混沌とした現代だからこそいろんな活躍のチャンスが用意されているのです。
人間性を軽視して発展している現代社会は、理論・理屈による左脳偏重の社会と言えなくもありません。そして、多くの人が人間らしさを失って、悩みや苦痛を抱えながら生きているのも左脳中心の考え方が身に染みついているからです。
私たちは、もっと右脳による人間本来の「感性」を使って、バランスのとれた人間になる必要があります。「知性の左脳」と「感性の右脳」の2つの脳力のバランスがとれて初めて、私たち人間は、人間らしい気持ちになれ、人間らしくその力を発揮することができるのです。
〝やる気〟が生まれ、感性と理性の力が発揮できれば、人生が好転しないわけがありません。あとは、その力を使って、いかにあなたが楽しみながら人生を歩んでいくかということだけなのです。