人間は、この地球上に誕生して以来、宇宙のあらゆる活動リズムの影響を受けて生きており、その体験は親から子へと、気の遠くなるような繰り返しによって引き継がれています。
そして今日、私たち人間の身体の内には、現在発見されているだけでも約300以上のリズムがあると言われています。
それを「体内リズム」といいます。
その基礎となるリズムの1つにサーカディアンリズムがあります。地球の自転と同調している1日約24時間のリズムです。
朝目が覚め、夜になると眠たくなるのは、このリズムの影響を受けているからです。また体温が午後12時から3時頃までに高くなり、夜中の午前2時から3時頃に最も低くなるのもそうです。これは、人間の祖先が、太陽が昇るとともに活動を開始し、沈むと休息に入った頃の1日の生活リズムが私たちの内に記憶されているからです。
内臓の働きやホルモンの分泌、細胞分裂などもこのリズムに基づいています。そのリズムが存在することは、特定の時間帯に病気が発生しやすいことでもよく分かります。たとえば、偏頭痛や心筋梗塞は朝方におき、歯痛や胃潰瘍は夜中に起きることが多いのは、それぞれに関係する体内リズムの影響によることが知られています。
このように、私たち人間は、自らの内にある体内リズムによって、心身のあらゆる部分が動かされています。また、1日のリズムだけではなく、月のリズム、年のリズムも同じように、1日のリズムに重なって私たちの身体をつかさどっているのです。
これらのリズムが、私たちの身体の中に300以上もあり、それぞれのリズムが重なり合って調和をとりながら私たちの生命を維持し、活動させているのです。
そして、そのリズムの源は、大宇宙のリズムなのです。
これまでに、天行力を受けると生命エネルギーが活性化されると述べましたが、それは天行力が、あなたの体内にある300以上ものリズムと共鳴して、あなたという人間のすべての歪みを正して、本来あるべき絶妙の調和を取り戻してくれるからだと言えるのです。
このように見ていくと、私たちの生命が、いかにこの世のすべてのものとつながり、大宇宙とつながっているかが分かってきます。
では、この体内リズムと大自然のリズムが合わなくなると、どのような現象が起きるのでしょうか。
たとえば、体内リズムは、不規則な生活をしたり、ストレスが溜まったりすると、すぐに乱れてしまい、身体に変調を生じさせてしまいます。悩みがあると夜眠れなくなる、寝不足だと肌が荒れるといったことから始まって、ついには胃潰瘍、心臓疾患などの病気を引き起こしてしまいます。
がんもそうです。私たちの身体の細胞はすべて規則的なリズムにそって、一定の時間帯に分裂を繰り返しています。ところが、がん細胞はリズムを失って、異常な分裂を行います。まわりの健康な細胞のリズムと調子が合わなくなって増殖を繰り返すのです。
このように、体内のリズムのバランスが崩れると、私たちの身体はとたんにおかしくなります。それは、リズムが乱れているから元に戻しなさいという、自分の内にある生命からの警告とも言えます。
同じようなことは、自然環境についても言えます。自然はそれぞれのリズムを繰り返しながら、全体として絶妙なバランスを保っています。そのバランスが、たとえば自然破壊などで崩されてしまうと、大洪水や干ばつなどの異常気象が世界中で起きてきます。それは、自然の摂理を無視したことによって生じた地球の病状であり、リズムを元に戻しなさいという自然の法則からの警告なのです。
リズムに乗れば最高の観いが源く
さて、太陽と月のリズムが人間に与えている影響と、人間が内に持っているリズムについて説明をしてきましたが、最初に述べたように、宇宙の活動そのものが繰り返しの連続で創られ、人間もまたその繰り返しの過程を経て誕生しました。
ということは、つまり宇宙のすべてのリズムと、地球上に生きる人間の内にあるリズムとは不可分の関係にあり、お互いに共鳴しあうということです。
そもそも私たち人間は、何の無理もない自然体であれば、「自然の法則」のままにすべてが協調しあい、正常なバランスを保つようにできています。病気になったとき、その病気に対するあらゆるこだわりを捨て、自然体の自分になることができたら、〝自然治癒力〟が働いて自らの力によって病気が自然に治っていくのも、そのように人間が創られているからなのです。
そればかりではありません。人間は、地球上の他のすべてのリズムと共鳴し、宇宙のあらゆるリズムと共鳴しながら、ハーモニー(調和)を奏でることができるように創られているのです。
私たち人間は、たとえて言うと、大いなる意思である天が指揮するオーケストラの一員として、しかも楽団のスターとしてその演奏に参加しているようなものでしょう。
天の指揮にしたがって、スポットライトを浴びながら1人立ち上がって楽器を演奏しますが、そのまわりには多くの奏者が奏でるリズムがあります。そのリズムと自分が演奏するリズムを調和させることにより、壮大なシンフォニーが奏でられるのです。
このように、私たち人間は〝大自然の一員〟として、大自然が奏でる繰り返しのリズムに合わせ、自らの生命を見事に奏でることを期待されて、人生という舞台に上がっているのです。
そして、そのために必要な力はすべて与えられています。その力は、宇宙のリズムと共鳴することによって、つまり「自然のリズム」に沿うことによって十分に発揮されるようになっているのです。
体内のリズムのすべてが本来のリズムを刻んでいれば、私たちの身体は快調そのものです。そして気分爽快で、何事も前向きに取り組もうとするエネルギーがわいてきます。
つまり〝絶好調〟になれるのです。
先に、三法行を行うと、自然に心地よいリズムがわいてくると述べましたが、それは自然のリズムと、体内リズムが共鳴して、お互いに調和してくるからです。法唱や法筆を行うことによって、体内リズムは本来のバランスを取り戻して身体全体を活性化させます。その波動が、心地よいリズムになっていくのです。その状態になったとき、身体の奥底からわいてくる「観い」は、最高のものになるのです。
人間はリズムに乗ると、すべてが快調に運ぶようになります。自然のリズムに調和し続けることができれば、「観い」も途絶えることなく源き続けてきます。その最高の「観い」を源かし続けることができれば、人生に不可能はなくなってきます。
「リズムに乗って観いを源かせ、自然のリズムに調和して人生を生きる」
このようなリズムの繰り返しを産みだすことができれば、音叉共鳴と同じような作用が働いて、最初は小さなリズムが、やがて最高のリズムとなり、素晴らしい力を発揮するようになってきます。
三法行が、毎日の〝繰り返し〟を重視するのは、そのようなリズムの循環が、毎日のわずかな時間の使い方で、自然にわいてくるようになるからです。