私は子ども時代、勉強も運動も得意でなくて、おとなしくしているしかなく、いつも心にはもやもやしたものをため込んでいました。
一方で、映画俳優に憧れ、「将来、映画俳優になって、自分をバカにした人間を見返してやる」と思っていましたが、夢はただの憧れで終わってしまいました。
自信がないくせに我が強く
私は自分に自信がないくせに我が強く、何でも他人のせいにして生きていました。
家は農家で、農家の長男は中学を出ると農業高校に入り、農業の勉強をして跡を継ぐのが普通でしたが、私は勉強が苦手だったので、中学を出てすぐに家の手伝いに入りました。同級生が自転車で高校へ通学しているのを見てうらやましく思い、自分は田んぼの中で虫に手や顔をさされ、赤く膨らんでいたのでそれが恥ずかしく、隠れて働いたのを覚えています。
突然の父の死
中学校を卒業した年、夏の一番暑い日のこと、父親が突如、農薬の事故で亡くなってしまいました。37歳の若さでした。母親から「この先どうして生きていくのか」と泣かれたときには、自分自身どうしていいのか分からず、私は目の前が真っ暗になりました。
その後、親戚が集まって話し合う中で、父親の弟が一人東京にいたので、呼び寄せ、母親と一緒にさせて家を守ってもらおうということになり、実際にその叔父が家に入ってくれました。
そのころ私は16歳の反抗期で、家に入ってくれた叔父を父親と認められず、一緒に家にいるのも嫌で、家を飛び出し非行に走りました。
叔父の姿を見て非行から立ち直り
私は不良グループの仲間に入り、人様には言えないような悪いことを4年間ほど繰り返していたのですが、それにもかかわらず、叔父はそんな私を黙って迎えに来て、家に入れてくれました。私は本当にありがたく思い、その叔父の姿を見て農家を継ぐ決意をし、まじめに農業をするようになりました。
当時は、農家の長男は20歳になると、嫁さんをもらって家庭を築き、家の跡を継ぐのが普通でした。私も親戚や近所の人がたくさんの縁談を持ってきてくれ、その度に見合いをしましたが全て断られていました。自分に自信がなくて、魅力がなく相手にしてくれなかったのでしょう。
次々に難問が降りかかって
そんな私をふびんに思った、友達の奥さんのつてから、私は改めて見合いをし、ようやく結婚できました。その相手が今の妻です。その後35歳で子どもを授かり、これから家族みんなで幸せになろうと一生懸命働きました。
ところがそんな中で、下の子どもは中学生のときに、登校拒否をして家に籠もるようになっていました。上の子どもは学校でいじめに遭い、自殺しはしまいかと心配になるほど深刻な状況にありました。
ちょうどそのころ、妻は末期の胃がんにかかり、胃を全部切り取る大手術をして苦しむことになったのです。
悪いことは続き、その後、私も極度の腰痛と首のヘルニアで肩に痛みがあり、毎日病院に通うようになりました。電気をかけたり注射をしたりという治療を受けていましたが、肩を切り落としたくなるほどの痛みに苦しめられました。夜は金縛りに遭い、悪夢にうなされ幽霊におびえ、その恐怖で夜は眠れず、酒を飲んで泥酔し暴れるまでになっていました。
神仏にすがっても解決せず
こうなったら神仏にすがるしかないと思い、私は毎日般若心経をとなえ拝んでいましたが、家の中が悪くなる一方でした。
そんな状況から何とか抜け出したい一心で、私は、暇さえあれば図書館に行って、仏教関係の本などを読みあさっては、道を探していました。しかし、多少の知識は身についても、実際には本に書かれているような、すばらしい自分にはなれません。仏教の本には、「空に成って悟りを開け」と書いてあるのですが、どのようにしたら空に成れるのか分かりませんでした。
近くに山伏の修行の場があるので、山に籠もって滝に打たれたり、山を駆け巡ったり、煙の充満する部屋で一週間も断食するなど、命がけの修行でもしなければ悟りは開けないのかと思いわずらいながらも、家族を捨てて山に入る勇気はなく、どうしていいのか困り果てていました。
自然の法則に出会い、問題を問題としない自分に
1冊の本を通じて自然の法則に出会い、その後の人生が一新光明に照らされることになったのは、そんなある日のことでした。
私は一生懸命生きてきましたが、それまでしてきたことは、「大自然の法則」から見ると反対のことばかりだったことに気付かされたのです。
家族で法則に沿い、問題を必要としない生活を歩みたいと思い、初めに妻と長男が、その後、私と次男が頭を取りました。
心臓が動いているだけで最高
頭を取り、三法行(さんぽうぎょう)を繰り返していると、自然とこだわりが取れてきました。頭が悪くて最高、運動神経が鈍くて最高、顔が悪くて最高、この心臓が動いているだけで最高、何があっても最高と思える自分に成れ、本当の意味で生きることのすばらしさをかみ締められるようになり、人間本来のよろこびに目覚めることができました。
家族みんなが幸せに
私も妻も子どもたちも、問題を問題としない自分となり、気が付くと、病気や登校拒否、いじめなどとも無縁となっていました。
その後、子どもたちも大人になり、長男も結婚をし、子どもも生まれています。中卒の次男も仕事を見つけ、今では社会人としてちゃんとやっています。妻は18 年前に末期の胃ガンで手術したとは思えないぐらい、笑顔で毎日家事をこなしています。
そうした過程で、90歳代の母や義父も一緒に三法行を楽しく行うようになりました。
義父も、母も、雪解けを迎えて春になると畑で無農薬野菜をいっぱい作付けし、近所に分けて喜ばれています。
人間とは、生とは何か、死とは何か
今の世の中には、かつての私のように、大自然の法則に沿えておらず、問題を引き寄せ、苦しんで毎日を送っている方がたくさんいると思います。
その方に起きている問題は、物事を頭でとらえているその人に、大自然がもたらしてくれているメッセージなのです。
私自身が自然の法則に出会い体験したことを、世の全ての方々に向け、お伝えせずにはおられません。
超写経のすすめ教室を開催
私は、地域で「超写経のすすめ教室」を開催し、人間のすばらしさ、大自然の法則のすばらしさ、人間とは何か、何のために生きているのか、死とは何かをお伝えさせていただいております。教室を通じて、私の言うことならやってみようと、三法行を始め、喜んで繰り返しをされている方もおられます。
ぜひ皆さまにお近くの教室に足を向け、苦しみとは無縁の人生を歩むきっかけにしていただきたいと思っています。